東京パフォーマンスドール「PLAY×LIVE『1×0』アンコール公演エピソード1&2」が非常に素晴らしかった件

※非公開状態のままだったことに気付いたので2014年6月12日にUp。現状とかけ離れている点もあるが、当時、目が節穴だったということで……

1月31日〜2月11日の期間、渋谷のCBGKシブゲキ!!において、東京パフォーマンスドール「PLAY×LIVE『1×0』アンコール公演EPISODE 1&2」が開催された。

この公演は、昨年8月に行われた「PLAY×LIVE『1×0』EPISODE 1」および「同 2」の再演という位置付けだ。とはいえ、そのまま同じことをやったわけではなく、脚本や演出の一部に変更が加えられていたほか、Dance Summitパートでは、EPISODE 1と2のそれぞれで異なるセットリストが用意されていた。

結論から言ってしまうと、とにかく素晴らしかった。昨年、EPISODE 1〜5までを演じきったことで、メンバー達はここまでスキルアップするものなのかと、何度となく驚かされた。
そして同時に、初演時は不満に思っていたポイントの多くを演出面への消化不良であると判断してしまっていたのは、こちらの目が節穴だったのではないか? という気すらしてきた。
というのも今回、EPISODE 1と2でそれぞれ主役を演じた高嶋菜七、小林晏夕、上西星来、脇あかりの4人は舞台の上で自然に生きていて、ちょっとした間にも、さまざまな情報を詰め込むことに成功していたのだ。初演時、間延びをしているように感じた個所の多くは、演者のスキル不足によって、間を演じることができず、単なる空白になっていると感じてしまっていたのかもしれない。
もちろん、芝居に不慣れな演者をフォローするような演出ではなかった……という意味では、初演時の演出にもの申したい気持ちは残る。しかし、演者に対して高いハードルを設け、それを乗り越えさせる意図が込められていたのではないかと考えると、さまざまな部分で合点がいく。

そういった育成過程の不完全なものを、決して安くはないチケット代を払った観客に見せることが適切か否かについて議論の余地は残るかもしれないが、何だかんだで初演から見続けてしまっている以上、不完全なものが完成形に近づく様を娯楽として享受できたのは間違いないし、自分にとってはここ最近で、最も楽しめるエンターテイメントだったと思う。
今回もそこそこの回数を見に行ったが、同じ物語であるにも関わらず、決して飽きることはなかったし、とにかく楽しい毎日を過ごすことができたのは確かだ。

■ステージの充実とは裏腹に
■集客面と広報戦略に課題が?

ステージの上についての不満はとくにないのだが、今回のアンコール公演では、集客面の不安が残った。
芝居にしろ歌にしろダンスにしろ、この調子で成長していけば、これまでにあまりないタイプのパフォーマンスグループへ育っていく可能性は十分にあると思う。それを確信できるクオリティだった。
ただ、クリエイティブもメンバーのルックスやスキルも、きっちり高いレベルにあるというのに、いかんせん集客力が弱い。いいものを創りさえすれば、それで観客は自ずと増えていくというのが理想的ではあるが、なかなかそう簡単にいかないのは世の常だ。

そこをどう打破していくかについては、おそらく運営陣も頭を悩ませていることと思う。
そこで出した解決方法の一つが、アンコール公演前に頻繁に見られた、Google AdWords広告だろう。だが、Webサイトの広告をクリックさせて公式サイトに誘導させたところで、どれだけの人が劇場に足を運ぶのだろうか。
ここ最近では、Webサイトに誘導することと、そこからオンラインでものを売ることは、さほど乖離しなくなったように感じられる。しかし、実際に特定の会場へと足を運ばせることが必要であることを考えると、そもそもの考え方自体に瑕疵があったのではないかという気がしてくる。
とくにユーザーの動向をトラッキングして表示する広告の場合、アンコール公演の広告が表示されたのは、ある程度の属性に限定されていたのではないか。結果、すでに足繁く劇場へ足を運ぶ層と、TPDの存在を知ってはいるが劇場に足を運ぶつもりのない層に向け、バナー広告を見せていたことになるのではないかという気がした。

平日の昼公演はともかく、週末の公演ですら満員にできなかったのは、TPDの魅力を外部に伝える広報戦略がうまく機能していなかったからではないかと思える。
TVのレギュラー番組や雑誌への露出に関しては、先代の名前以上に事務所のネゴシエーション力のたまものだと思うのだが、それすらも集客にうまく結びつけられていなかった。
それもこれもGoogle AdWords広告同様、露出させることをゴールに設定してしまっていたからではないか。

しかもその中身がせいぜい、「あの伝説のグループが復活」「先進的な技術をふんだんに活用した新しい舞台」といった抽象的なメッセージを伝えるレベルでしかなく、いくら公演情報を同時に掲載したところで、「実際のところ何をやっているのか」「そもそも面白いのか」といったところを、受け手に想像させるまでに至っていなかったのではないか。
それでいて、チケット代が4800円(3月下旬の公演から5000円)と、決して安くはない。これは初めて見に行こうという人にとって、かなり高いハードルだ。

 

■メディア展開と
■集客力のギャップ

ブシロードの木谷高明社長は、2012年に同社傘下に収めて以来の新日本プロレスの好調な業績について、「流行らせるために“流行ってる感”を出した」「人が物を欲しくなる条件というのがあって、“近い将来もっと盛り上がっているだろう”と思ったら人はそれを買う」(NEWSポストセブン)と語っている。
個人的には、TPDもこれを見習うべきだと思う。ただ、TPDの場合、こうした手法をとる前の段階で、CBGKシブゲキ!!を毎公演、前売り段階で完売するぐらいに持っていく必要があるのではないか。
そのうえで、「面白い」というクチコミがインターネットなどを通じて拡散していったとしたら……? そしてそこに、Google AdWords広告や各種メディア展開が重なったとしたら……? と夢想してしまう。
もちろん、それを試したわけではないので断言はできないが、少なくとも今よりは、世間的な認知度も高くなっていたのではないかと思う。そこまでいけば、現在のチケット代も抵抗感なく受け入れられる人が増えるのではないか。

自分自身、これまで合計で10人以上を誘ってTPDの会場に足を運んでもらった。時には、自分がチケット代の一部を負担する形もあった(行けない公演のチケットを買ったり、同じ公演のチケットを重復して買ったりしてしうという凡ミスが原因だが……)。その後、全員がリピーターになったわけではないが、誰もが口をそろえて、チケット代に見合う内容だったと言ってくれた。
誘う人を選んだという側面もあるにはある。しかし、面白いかどうか分からないものに対して、約5000円を気軽に支払える人は多くないだろう。半面、その中身を見れば納得する人は決して少なくない。そういうことではないかという気がしている。

こうして考えていくと極論、初回だけは割り引きだとか、初回でもリピーターに連れられて来たときだけ割り引き……といった形ででも、CBGKシブゲキ!!に初めての人の足を運ばせてみる試みがあっても良いのではないかと思う。
それこそ、誘った人と誘われた人の双方に何らかのメリットがあり、より積極的に誘いやすくなる環境があれば、理想的ではないか(個人的には、もうこれ以上誘えそうな人が思い浮かばないのだが)。

とにかく、まずは会場を埋めること。そのうえで初めて、メディア展開などは功を奏するのではないかと考えている。

 

■対バンイベントへの出演は
■「知ってるけど高い」の壁を壊せるのか

しかし運営陣は、上記のような手法ではなく、現在アイドルが好きであちこちの会場に足を運んでいる人達に、TPDを見せることを選んだようだ。
3月9日は「@JAM NEXT」、3月29日は「アイドル甲子園FESTIVAL」への出演が発表されている。そこで初めてTPDを目にする人も多いと思うし、そこで興味を持つ人もいるだろう。
だが、そこで興味を持った人に対し、「CBGKシブゲキ!!での公演は、5000円です」と伝えたとき、その人達は会場に足を運んでくれるのだろうか。それでも「見たい」と強く思ってくれる人だっているはずだが、決してそこにいる大多数が……というわけではないだろう。

Web広告同様、実際に目にして何らかのポジティブな感想を持った人が、さらにCBGKシブゲキ!!へ足を運ぶかどうかは、また別問題だ。そこからさらに背中を押すような施策が必要になるのではないだろうか。
すでに前売り券を購入している人にとっては複雑だが、対バンイベントのチケット半券を持っていけば当日券が割り引きになるとか、そういった形の特典があってもいいと思う。前述のとおり、初めて見てチケット代に納得したならば、リピーターになるケースが決して少なくないことを考えると、まずはCBGKシブゲキ!!での公演を見てもらうことが、スタートだと思うからだ。
現状、そのスタートにたどり着けない人が多いというのが、TPDが抱える課題だと思う。

少々余談じみてしまうが、現在のTPD運営陣のやり方を見ていると、“潜在的なニーズのある場に露出させること”を、第一目的にしてしまっているのではないか? という疑念を抱いてしまう。
自分が業務で携わっている業界の場合、PR会社やコンサル会社は、この手の提案をしがちだ。そして多くの場合、投資したコストに見合うだけの結果を得られないままに終わっていく。日本市場に不慣れな外資系の会社が、耳目は集めるが刺さらないプロモーションに終始し、あっという間に日本市場を見捨てるというケースも少なくない。それと同じだとは思いたくないのだが……。

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