iPhoneやXperia Z3 Tablet CompactやWALKMAN NW-A25などで音楽を聴くにあたって、MDR-1ADACを使っていた(関連)。音質にとくに不満はなかったが、接続する機器ごとにケーブルを付け替えなければいけない点にわずらわしさを感じていたところ、今年の頭に発表されたのがh.ear on Wireless NC MDR-100ABN。
Bluetooth接続で、SBC、AAC、aptXといった主要なコーデックに加え、ソニーが推進するLDACにも対応。ハイレゾ相当のサウンドをワイヤレスで楽しめるうえに、ノイズキャンセリング機能まで搭載しているときたら、そりゃ物欲も激しく沸くというもの。LDACに対応したNW-A25も持っていることだし。
で、日本での発売が発表されるやいなや、即座に予約。先日手元に届いたので、さっそく使いまくっている。
3万円オーバーと決して安い買い物ではなかったが、ここ数年のうちに購入したヘッドフォンの中では最も満足度が高い。音質に関しては、ややドンシャリ傾向があるものの、細かな高音域もくっきり再現してくれる。クラシックやポップス、ロック、エレクトロなど一通り再生してみたが、どれもそつなく鳴らしてくれた。
なお、厳密に言えば、ハイレゾ再生には有線接続かつ電源をオンにする必要はあるが、LDACの標準モード(660kbps)でも十分に音の良さを実感できる。以前、Bluetooth接続のヘッドフォンを使っていたときには、音の粒を強引にまとめて束にしているような印象を受けたのだが、そういったこともない。
ハイレゾ相当とされる音質優先モード(990kbps)ではさらに繊細な表現をきちんと感じさせてくれるものの、何かをしながら音楽をそこそこ良い音質で手軽に楽しむ程度であれば、標準モードでまったく問題ない。むしろ音質優先モードは周囲にBluetoothと同じ2.4GHz帯の電波が飛びまくっているような環境だと、データの伝送にしくじることもちょいちょいあるので、そこで「お?」とならないで済む分、標準モードのほうが安心して使っていられる気がする。
ノイズキャンセリング機能に関しては、以前使っていたBOSE QuietComfort15がガッツリ外部の音を遮断していたのに比べると、やや穏やかな効果という印象はあるものの、十分なレベル。この機能をオンにすると、音楽の再生音はややこもった感じはなるので、常時オンにするというのではなく、シーンに応じた使い分けはしたほうが良さそうだ。
不満点としては、Bluetooth接続かつノイズキャンセリングをオンにした状態だと、右チャンネルにバリバリというノイズが入ることがある。ノイズキャンセリング機能をオフにするとノイズも消えるのだが、どうも原因はさまざまな電波が飛び交う環境にあったっぽい。多数のPCが動いている上に無線LANを中心とした各種電波も飛びまくっていて、なんならほかのBluetooth機器も使われているような環境なので、どれが原因でもおかしくはないだろうが、最初は初期不良を掴んでしまったかとやや焦った(その環境を離れたら問題は発生しなくなったので、環境に原因があると推測)。
※2016.3.16訂正 初期不良だった。サポートが快く対応してくれ、交換したところ問題は解決。つまり不満点がゼロに……。
前述のとおり、総じて満足しているし、何ならいろんな人にオススメしたいぐらいの製品だ。有線接続であれば、電源オフ状態でも(ハイレゾ再生にこそ対応しないものの)ヘッドフォンとして使えるのも嬉しい。そして何より、ケーブルから解放されることの快適さたるや! これはBluetoothヘッドフォン全般に当てはまることではあるものの、Bluetoothの利便性と引き替えに音質を犠牲にすることのない製品が、世の中にどれだけあるだろうか。ペアリングは8台まで可能なので、いちいちケーブルを付け替える必要もないし、いや〜本当に良い買い物をした。
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