東京パフォーマンスドール PLAY×LIVE『1×0』EPISODE 2

 EPISODE 1の翌週、前回と同じCBGKシブゲキ!!で「東京パフォーマンスドール PLAY×LIVE『1×0』EPISODE 2」が上演された。
 事前の予告どおり、PLAY×LIVEはEPISODE 1〜5の連鎖公演であり、EPISODE 2はその名のとおり2番目のお話という位置付けだ。

 以下もまた、ステージを複数回見て、終演後にその都度メモをとったものをベースに、パンフレットを見つつまとめたものであり、えらい勢いの事実誤認などもあるかもしれない。あくまで僕が見たEPISODE 2は、こんな感じだったということで、話半分で読んでいただけると幸いだ(誰向けの言い訳なんだこれは)。



 上演開始を告げる影ナレと、TPDメンバーが上気した様子で口々に語る「凄いことがあったの」「渋谷でも星が見えるんだから」「世界を救ったのよ、私達が」といったセリフはEPISODE 1と同じ。その後の「ダイヤモンドは傷つかない」のパフォーマンスも変わりない。
 曲にノイズが混じり、メンバーの身体に「1」「×」「0」といった文字が投影される場面も同じだが、EPISODE 2のエンディングから想像するに、あの瞬間にTPDのメンバーが何ものかによってハッキングされ、その意志や身体が乗っ取られ、アバター化されたのではないかという推測もできそうだ。
 その後、動かなくなったメンバー達の様子を不思議そうな面持ちで確認するのが、EPISODE 1では高嶋菜七と小林晏夕であったのに対し、EPISODE 2は脇あかりと上西星来の二人だった。これはおそらく、EPISODEごとに異なる主役の2人が担う役割なのだろう。

 そこから先、ハチ公前と思しき交差点で空を飛ぶペンギンを見た彼女らが、どこかへと落下し、その過程で自己紹介をするのはEPISODE 1と同じ展開。山手線と思しき電車から出てくるのが、今回の主人公の2人。あかりは窮屈そうに、それでいてしれっと降車。星来は降車した瞬間に、電車の中と外の気温差に戸惑っているような様子を見せていた。
 なお、地下で橘 二葉が「甘栗回収にご協力ください」と叫んでからの流れには、一部の変更はあったが(櫻井紗季がなくしたコンタクトを探す流れで二葉が甘栗を見つけた直後、全員で「甘栗かーい」と突っ込むシーンはEPISODE 1にはなかった)、大枠は変更されておらず、各公演で異なるのはそのエピソードの主人公となる2人の物語であることは間違いない。
 地下に現れた謎の五つの扉。最初にそこをくぐったのは、前回の主人公である菜七と晏夕。2番目にくぐったのは、あかりと星来だった(その後は、櫻井紗季と浜崎香帆、橘 二葉と美波沙南、神宮沙紀と飯田桜子の順。EPISODEもこの順番なのか?)。

 あかり&星来が進んだ先は、大きな窓と,窓の外に大きな月、そししてティーセットとケーキが置かれたテーブルのある部屋。そこでの2人(というか、主に星来)の反応から、EPISODE 1のエンディングで各ペアが登場したシーンが、同じ時系列を切り出したものではなく、各EPISODEのどこかのシーンを抜粋した、次回予告のようなものであったことが明確になる。
 現TPDオリジナル曲である「DREAMIN’」のアレンジ版が流れるその部屋で、星来は地下なのに窓の外に大きな月が見える状況について、自分が読んでいた本のせいで見た夢が具現化したのではないかと悔いる。一方のあかりは、その場にあったケーキをいきなり食べてしまう。その様子を見て、必要以上に不安に駆られる星来。ケーキや、あかりが舐めたハチミツに毒が入っているのではないか? と語る。そうこうするうちに、どこからともなく聞こえる銃声。悲鳴を上げる二人。
 それでもあかりは、星来に「笑おう」と伝える。かといって星来が笑えるわけではない。あかりはスマートフォンで自分がどこにいるのかを確認しようとするも、電波は届いていない。
 すると、お湯が沸いたことを知らせるやかんの音。そして登場する、ウーミー(ペンギンではなくウミガラスであると自ら明かす)。ウーミーは2人に、ゼペットのためにお茶を入れることを命じる。何でもゼペットは、ティータイムを大事にしているらしい。
 一方で、「ゼペットが世界をゼロにしようとしているから、怒らせてはいけない」と、思わせぶりなことを言うウーミー。「東京・シブヤに星が降り、孤独な世界をゼロにする」という謎の予言を実現しようとしているのが、ゼペットであるというのだ。

 ウーミーが姿を消すと、入れ替わるようにゼペットが姿を見せる。あかりが「ここはあなたの家?」と尋ねると、ゼペットは「そうだ。同時に君達の家でもある」と答える。そしてケーキがひとかけらなくなっていることに気付くゼペット。その様子を見て、星来はあかりの前に謝る。一方、半ば開き直るあかり。それに対してゼペットは怒った様子を見せる。
 そうこうするうちに、あかりと星来はその部屋から逃げ出そうとする。しかし扉を開けて歩を進めても進めても進めても、2人はゼペットのいる同じ部屋に出てしまう。
 ちなみにその2人の様子を、ほかの8人のメンバー+TPD DASH!!の小学生が、同じ衣装で代わる代わる演じていたのだが、そのシーンはBGMの軽快さも相まって、ひたすら楽しく感じられた。

 そうこうしているうちに、突如、あかりは巨大化してしまう。「私だって分からないことがあるのに携帯は圏外だし」と、とりあえず検索すれば何とかなると信じているデジタルネイティブっぽい愚痴をこぼす。検索できないことで不安に駆られ、ついに泣き出してしまうあかり。巨大化したあかりの涙で、あたりは水浸しだ。
 直後、あかりは小さくなってしまう(映像を使って大きくしたり小さくしたりする演出は、少々、とってつけた感が強く、もう少し自然な流れを見たかった)。それを見て、ゼペットに「元に戻せ」と迫る星来。しかしゼペットは、「たまには星来さんが一人で何とかしろ」と突き放す。何でも、「ここは君達の世界」であるから、らしい。

 唐突にゼペットは、TPD各メンバーの性格について語り出す。星来は「自分の発言を誰にも聞いてもらえないことが不満」。菜七は「責任感は強いが自信がない」。晏夕は「自分勝手だが強さがある」。香帆は「仁義に厚いが寂しがり屋」。紗季は「考えすぎる傾向にある」。沙紀は「人を信じることができない」。桜子は「天然のようだが、彼女なりに現実と戦っている」。二葉と沙南は「妹のようだが、誰よりも大人」。そしてあかりについては「彼女の強がりはどこから来ると思う?」と、「弱虫で泣き虫」な星来に問いかけるように語る。
 あかりは、「こんなのを聞いていないで逃げて」と星来に伝えるのだが、ゼペットによると「この状況を打破できるのは星来だけ」らしい。

 「元の世界に戻りたい。ライブに行かないといけない」という星来。「何のために?」と問いかけるゼペット。やがて星来は、ウーミーの言葉を思い出し、ゼペットに「本当にシブヤに星を落とすの?」と聞く。ゼペットは「あいつはただのゲームのキャラクターだから、聞かなくていい」「1×0はすでに私の手を離れている」と語る。
 この言葉は大きな意味を持っている気がする。あの場にいるゼペットは、1×0の管理人ではあったが、もはや1×0に影響を及ぼせない存在。その中で、事態がどう転がっていくのかを理解しつつも手出しができず、とりあえずティータイムを楽しみに暮らしていた。
 そんなゼペットではあるが、あかりをはじめとしたみんなのことを「自分の子供」と表現していた。つまりそれは、舞台のうえで繰り広げられているのが、1×0のドール達による物語であることを暗示しているのではないか。

 フードをかぶった状態のほかのメンバー達が舞台に登場し、例の予言や「1×0、1と0のメッセージ」など、思わせぶりな言葉を無機質に語っていく。
 それを聞いた星来は、「あの予言を実現させようとしているの?」と、ゼペットに詰め寄る。しかしゼペットは、「それは君達の中にいる。だからこちら側に来てもらったんだ」と答える。そして元の世界に戻すように食い下がる星来に対し、「元の世界はこっちだ。本当の犯人を見つけて謎を解けば世界は救われる」と、重要なことを言っているようで、やはり煙に巻いているようにしか思えないことを言うゼペット。

 どうしたらいいのか分からなくなった星来に対し、突然姿を現したウーミーが「答えは自分の近くにある」と語る。そんなウーミーに銃弾をたたき込むゼペット。
 まだ小さくなったままのあかりは、星来に「ウーミーが言うとおり、答えは自分の近くにある」と諭す。あかりはこの時点で、この世界の法則に気付いたのだろう。
 怖じ気づく星来に対し、あかりは「あなたならできる。私がTPDを辞めると言ったときも、もうちょっと頑張れっ言ってくれたのはあんたでしょ。あなたは一人じゃない。大丈夫っちゃ」と励まし、星来が持っていた——彼女が一番好きな本であるという「不思議の国のアリス」を動かし、床に落とす。
 それを奪い取るゼペット。取り戻そうとする星来。その動きは、ジャッキー・チェン主演のカンフー映画を思わせるアクションさながらだ。そしてここで、あかりと星来のユニット曲「IN THE WONDERLAND」が歌い上げられていく。
 途中、ゼペットが隠していた銃を奪い、ゼペットに詰め寄る。星来はここで「あかりだってつらいことがいっぱいあったのに、私を引っ張ってくれた」ということに気付く。そして「本を返して!」と叫ぶ。
 それを見て「強くなったじゃないか、星来」と、少し優しい声で語るゼペット。彼女達に対するある種の親心のようなものがあるからこそ、あえて危機を与え、それを乗り越えさせることで成長を促したということなのだろうか。

 かくして本を取り戻した星来。小さくなったあかりを見つけ、あかりを元に戻す方法を考える。あかりは、その方法に気付いてはいるが、あえて答えを言わず、何のために本を取り返したのかと問いかける。
 そこで星来は、不思議の国のアリスのように、あかりが大きくなったり小さくなったりすることを想像してしまったから、このような事態に陥ってしまったことに思い当たる。
 二人は、あかりが元の姿に戻ることを信じ、念じる。あっという間に元に戻るあかり。この世界は、想像したことがそのまま具現化する仕組みであることに気付いたあかりは、今度は元の世界に戻ることを想像しようと、星来を促す。

 直後、舞台にはフードをかぶった8人の人物が現れ、PCのキーボードを叩きながら、口々に「君のドールはどうだ?」「僕のほうはステージクリアした」「そろそろ月が暴走し始める」などと語り合っているシーンに変わる。
 やはりそれまで舞台上で繰り広げられていたのは、1×0というSNSの中でAIによって自律的に活動するドール(アバター)達の物語のようだ。それではキーボードを叩いているのは、誰なのか。「月が暴走する」というのは、何を意味するのか。

 最後の最後で少しの種明かしと、さらなる謎が配置されたうえで、EPISOD 1と同じく「ダイヤモンドは傷つかない」のパフォーマンスが最後まで披露され、終了。「Dance Summit」パートへとなだれ込むことに。

 Dance Summitパートのセットリストは、EPISODE 1と同じ。ただし、一部の衣装が変更されたほか、「TPDのボックスパフォーマンス」(?)で使われていたドラムスティックが、木製のものから銀色で先端が発光するタイプのものに変更されていたなど、細かなマイナーチェンジが施されていた。
 EPISODE 3ではセットリストも変更されるとのことで、今から楽しみだ。

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